2010年9月
ビル・エヴァンス『アンダーカレント』
2010/09/06by GX750
えー、暑い暑いと言いながら、朝夕はずいぶんと涼しい時間が続くようになりました。少しずつ秋が近づいているようです。秋は秋らしい曲を聴きたくなりますよね。
つい先日、とある地元のスーパーでぼんやりしていると、聞き覚えのある曲が流れていました。耳をすますと、どうやらその曲はただものではなさそうです。あらら、これは……、ビル・エヴァンスとジム・ホールが演奏する『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』だったんです。手にしていた鳥のムネ肉を思わずポロリと落としてしまいました(かどうかは覚えていません)。要はそのくらい驚いたんです。
この曲、ご存知の方も多いと思いますが、インタープレイというビル・エヴァンスの概念やスタイルがギュッと凝縮された名演です。ビル・エヴァンスの雫を滴らせるようなピアノ、その音の広がりにジム・ホールの引き締まったギターの音色がぴったりと寄り添います。2人の音はやがてジャズという音楽の枠を超えて、ある種の高みへと昇華されてゆきます。これぞ音楽、それも極上の音楽です。何かの神秘的な力が2人に働きかけているとしか思えない、人間の力を超えた珠玉の名演です。
と、少々熱くなってしまいましたが、そういう曲がスーパーでなんとなくかかるようになったんですね。今やポータブルプレーヤーが普及して、好きな曲を持ち歩き、好きなときにBGMにできる時代。お店でかかる曲も変わり、音楽の形も変わりました。けれどもこういう曲は、スピーカーの前でくつろぎながら、しっとりとお酒を飲んで聴いていたいと思ったりするのです。
いえいえ、決してトンガリあたまさんに対抗しているわけではありません。音楽はいろいろな人の様々なスタイルに合わせて、欠かす事のできないものになっていきますね。秋は日本酒とこんなアルバムで。
GX750
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夏ミラノ
2010/09/04by ピップ